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学校法人設立の児童発達支援&放課後等デイサービス

管理者発信記事 【子どもを褒めるだけではなく、認めてみよう】

 インターネットが発展するにつれてあらゆる情報が容易に手に入る時代になりました。しかしながらその一方で、インターネット上では、うその情報や間違った内容が数多く見受けられます。子育てに関しても同様です。一見、もっともだと思えることであってもその内容を確かめてみると、一般的に言われている内容を過大に評価したものや、当てはめて考えてはならないものにまでその法則たるものを当てはめて言ってしまっているものもあります。また家庭での子育てをあたかも一般的であるかのように述べたものも散見されます。それでは具体的に一例取り上げてみたいと思います。

 子育てをするうえで、子どもは褒めて育てましょう、と多くの識者は色々な機会を通じて世間に発信しています。みなさんもよく聞かれるフレーズではないかと思います。この考え方に異論のある方はいないと思います。僕も異論はありませんが、そこには「ただし」と条件がつくように思います。子どもが他者の存在を意識しだす2歳ごろには、‘むやみにほめたおす’ことは控えた方がよいと思われます。その理由として、子どもはわれわれ大人を見て、そして模倣して育っていきます。当たり前のことをしていても褒められる、ということを繰り返し体験することで褒められないと行動できない人になってしまう恐れがあります。(最近の若者の中には、社会にでると叱られなれていないので、叱られるとすぐに会社を退職したり、上司に「私は叱られるよりも褒められることで能力を発揮する」という人が出てきたと聞きます。)もしくは、他者からの評価だけを基準に自分の行動を決めてしまうような人になってしまう可能性もあります。人からの賞賛がないと不安になり、行動できない人が増えてきているのはこのような‘ほめたおす’ことの弊害であると指摘している研究者もいます。

 では、親としてどのように子どもと接していけばよいのか。それは、わが子が活動している姿を見守り、その活動が終わったら、できたこと、がんばったことを‘認める’こという思考をもつことです。認めるとは子どもがやったことを、言語化して伝えるということです。例えば長く椅子に座ってお絵描きができたという場面があった際には、褒めるは、「おりこうさんね。静かに上手に待てて偉いね」などとなるのでしょうが、認めるは、「長い時間、静かに絵を描けてたね。」という感じでしょうか。褒めるということはそこに大人の評価が入ります。なんでもかんでも褒めてしまうのではなく、褒めるときは本当にわが子がいつもとは異なる素晴らしい姿を見せた時に、おもいっきり褒めてあげてください。褒めるのは量ではなく質に比重をおいて行うことが重要です。なんでもかんでも褒めてしまうのではなく、子どもの力を信じて見守るということも時には大人として必要な場面もあります。

博士(教育学) 臨床発達心理士 田中 文昭